ルーンのお守り的な…続×3
アミュレットを作るきっかけになった過去世のお話。
4年前から少しずつ観えてきた物語を少しだけ(笑)お届けします。
『一枝のアミュレット』
その日の銀緑の森は静寂の中にありました。
光も闇も優しく包含しています。
私は銀緑の森を歩く時は
(少し周り道にもなるのですが)北側にある泉から流れ出る小川に沿って…と決めていました。
そこでは北方の国にしては植物は豊かで動物ともよく遭遇するからです。
彼らに挨拶しつつ、道草をしつつ銀緑の森の中を歩くのが好きでした。
9番目の月の新月の日、
オークから自分のアミュレット(護符)にする一枝をわけてもらうために
私は泉を目指していました。
その泉のほとりには、幼い頃から絆を結んでいるオークの木があるのです。
オークは自分の枝に7つのヤドリギをのせています。
どっしりとかまえて、すべてを抱きしめてくれそうなそのオークが
私は大好きでした。
“アミュレットの一枝なら9番目の月の新月の日に…。
道草はしないように…。”
とオークが云うので黙々と…
そして時折出会う、シカやリスにも軽く会釈程度で挨拶を交わし、
小川のほとりを歩いていきます。
ほどなくして泉に着くと
オークの木の根元にオオカミが寝そべっています。
一瞬、恐怖を覚えましたが気合を入れ直してオークへと歩み寄りました。
アミュレットをいただく時、絆を結んでいる木のところに
何かしらの存在が姿を現す…と老司祭から話は聞いていたのですが
オオカミは予想外でした。
優雅なハクチョウ?森の賢者のフクロウ??
かわいげなテン?立派な角のヘラジカ??
…そんなことを考えていたのでした。
予想とは違う存在に動揺を隠しながらオークの根元に辿り着くと
オオカミはすっと立ち上がり
私が何を考えていたのかを見透かしたようにこちらをじっと見ながら
少し離れたところに座りなおしました。
私は3回深呼吸をし、オオカミに深々と一礼をし
続けてオークにも…ひざまずき挨拶しました。
さらに深呼吸を3回して老司祭に教わった通りに、
ぎこちない感じで一枝をいただく祈りを捧げ始めました。
~幼き時より友として変わらずここに在るあなたに感謝と祝福を。
今日この日に現れし森の知恵者にして開拓者たるあなたに感謝と祝福を。
今この時に感謝と祝福を。
我、ここにアミュレットたる一枝を求めん。
我、いただきし一枝を親とし、師とし、友とし、伴侶として
愛を捧げ強く絆を結ばん。
ここに許し乞う。
アミュレットたる一枝を我に…。 ~
一通り祈りを終えるとオオカミがオークを登りはじめました。
私の自慢の木登りよりはるかに軽やかです。
ある程度登ると、とある枝先に前脚をかけました。
目を凝らして見るとその枝先はキラキラと七色に輝いています。
するとオークがザワザワッと身をよじると
それを合図かのようにオオカミが前脚に力を入れ
ポキっと枝を落としました。
オオカミはその枝を咥え私の前に置いてくれました。
どうやらこの枝を分けてくださるようです。
そっとその枝を手に取ると七色の光が周囲に弾け
キラキラと光の雨が降り注ぎました。
そして身体の中心を爽やかな風のような水のようなエネルギーが通っていき
清々しい安堵感に包まれました。
自然と微笑んでしまいます。
こんな素晴らしい一枝を私に、
そしてこの時この瞬間に居合わせてくれたすべての存在に…
永遠なる感謝と祝福を!
オークとオオカミに抱きつき、
お礼をあふれる言葉が尽きるまで云いました。
気分は最高です。
オークが大事な一枝を身を削って自分に託してくれたこと、
オオカミがその一連の儀式をサポートし見守ってくれたこと、
こんな私のために……。
身に余る幸福感と同時に、“頂く”ことの意味を知りました。
この契約は嘘偽りなく、純粋に愛と愛の結びつきです。
…続きはまた(。-_-。)